フランスの有期雇用契約法制度 -若年層雇用と新型コロナの影響 日本との比較-

フランスにおける有期雇用契約の実態とその法制度を知り、今後の日本における有期雇用契約政策がどうあるべきかを考えます。またフランスの若年層の雇用状況と有期雇用契約者に対する新型コロナの影響を確認します。

背景

日本では有期雇用労働者の割合は4割を超え、その割合は一貫して上がり続けています。この傾向は多様な働き方を選択した結果として好意的にとらえる人もいる一方で、収入の格差などから労働者の二極化を招くとして批判をする人もいるなど様々な意見があります。

 フランスでは有期雇用労働者の数は比較的少なく、2割を下回っています。フランスでは労働者の保護および労働生産性の向上という観点から労働者は基本的に無期限契約雇用契約(CDI)での雇用となっており、有期限雇用契約(CDD)は時期、条件共に限定的となっています。また使用者は両契約で働く者を「同一労働・同一賃金」で雇用する義務を負います。このように日本とフランスでは有期限雇用契約に関して考え方及び制度において違いがあります。

 本シンポジウムでは有期雇用契約に関して日本とは異なる制度を持つフランスから有識者をお招きし、講演を行うとともに、日本とフランスの有期雇用労働に造詣の深い方々と議論を行い、今後の日本の有期限労働者の待遇や取扱いに関する政策について考えます。

 また、フランスでは有期限雇用契約は若年労働者の試用期間のように扱われている側面があるためその点にも触れ、加えてフランスおよび日本において新型コロナが有期雇用労働に及ぼした影響を確認します。

 

皆様のご参加を心からお待ち申し上げます。

 

本シンポジウムのリーフレットはこちらからダウンロードできます。

国際シンポジウム開催案内

日時 2022年2月9日(水) 16:00~20:30
実施方法 オンライン(Zoomウェビナー)
主催 一般財団法人 海外産業人材育成協会(AOTS)
対象者
  • 労働法や労働政策に係わる研究者、政府関係者
  • 労働関係団体    
  • ジャーナリスト
  • 労働法や労働関連分野について学んでいる学生
  • フランスへの進出を考える、もしくはすでに進出している日本企業の人事労務管理者・
    海外事業担当者等
参加申込
申込用紙

参加費無料 定員80名 

 お申し込みは、Zoomウェビナーからの登録、もしくはEメールでお願いいたします。
 Zoom ウェビナー登録アドレス
 https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_WXe7d0FcRcSXeEQj4BRWCg

Eメールでのお申し込み:  

※先着順に受付いたします。定員がございますので、お早めにお申し込み下さい。
Eメールでの受付の際は、以下の情報をご記載ください。
①お名前(漢字・フリガナ)、②ご所属機関(会社・団体・学校等)名、
③業種、④役職、⑤電話番号、
⑥当シンポジウムを知った経緯(媒体、紹介者など)、
⑦パネルディスカッションの中で取り上げて欲しい問題・事項

申込締切

2022年2月2日(水)

お問合せ先 一般財団法人 海外産業人材育成協会(AOTS)産業国際化グループ
TEL:03-3888-8253/E-MAIL: employers-bb@aots.jp
プログラム

【第1部】

基調講演及び解説

  • 基調講演 1)
    「フランスにおける有期雇用契約とその関連法規」
    Prof. Pascal Lokiec (パスカル ロキエック)(パリ第1パンテオン・ソルボンヌ大学
    労働法 教授/フランス労働法学会会長)
  • 解 説 1)
    細川 良 氏(青山学院大学 法学部法学科 教授)
 
  • 基調講演 2)
    「フランスにおける有期雇用契約と新型コロナの影響を含む最新の労働状況」
    Prof. Jerome Gautie(ジェローム ゴーティエ)(パリ第1パンテオン・ソルボンヌ大学
    経済科学教授)
  • 解 説 2)
    島田陽一 氏 (早稲田大学 法学学術院 教授)

【第2部】

パネルディスカッション:

事前に聴衆の皆様より頂戴いたします討議事項・ご質問に沿って進めて参ります。
討議事項・ご質問は、お申込用紙により事前に、または当日休憩時間に受付いたします。

  • モデレーター:
    細川良氏
  • パネリスト: 
    Prof. Pascal Lokiec
    Prof. Jerome Gautie
    鈴木 宏昌 氏(早稲田大学名誉教授)
    島田 陽一 氏
講師陣

【講演】

パスカル ロキエック 氏
パリ第1大学 教授(労働法)/ フランス労働法学会会長

フランスの労働法研究の第一人者として活躍している。労働・雇用関連法を専門とし、
多くの論文を執筆している。

【その他の主要な役職】
Director of the Master 2 of Social Law, University Paris 1
Co-Director of the department of social law of the IRJS, University Paris I

【最近の著書】

・Contrat et pouvoir, LGDJ, 2022
・Droit de la négociation collective, avec  G. Loiseau, L. Pécaut-Rivolier, P-Y Verkindt,
Dalloz, 2022
・Droit de la représentation du personnel, avec G. Loiseau, L. Pécaut-Rivolier, P-Y
Verkindt, Dalloz, 2020
・Droit du travail, PUF, collection « Thémis », 2ème édition, septembre 2019
・Une autre voie est possible, avec E. Heyer et D. Méda, Flammarion, 2018
Il faut sauver le droit du travail, éditions Odile Jacob, 2015

【最近の発表論文】
Les excès de la surveillance en entreprise, D. 2021, n°27
Précisions sur l'offre personnalisée de reclassement, Dr. soc. 2021, n °7
La faute grave n'exclut pas le licenciement vexatoire, Lexbase, 2021, n°851.
Inaptitude, reclassement et maladie non professionnelle,  Dr. soc. 2021, n°1.
Les accords de performance collective lors du colloque de la revue droit social,
SSL, 2020, n°1893
 

 

ジェローム ゴーティエ 氏
パリ第1大学 教授(経済科学)

フランスの労働経済について多くの著書・論文を発表し、国際的な活動も多く行っている。

【その他の主な役職】

Pôle Emploi(フランス国立公共職業安定所)科学評議会(Conseil Scientifique)議長

 

【最近の活動】

2015-2018:

"Quality of Jobs and Innovation Generated Employment Outcomes
(QuInnE)
", funded by the European Commission, coordinated Chris
Warhust, University of Warwick, and Christopher Mathieu, University
of Lund.

The program covers 7 countries (France, Germany, Hungary, The Netherlands, Spain, Sweden and the United-Kingdom), and more
than 25 researchers are involved.

2010-2012:

"Public sector pay and social dialogue during the fiscal crisis. The
effects of pay reforms and procurement strategies on wage and employment inequalities
", funded by the European Commission, coordinated
by Damian Grimshaw, University of Manchester.

The program covered 5 countries (France, Germany, Hungary,
Sweden and the United-Kingdom), and 14 researchers were involved.
I was coordinator of the French research team (4 senior researchers
including me)

2006-2014:

Participation to 4 research

 

【最近の著書】

Books

・Gautié J. (2020), Salaire minimum et emploi, Les Presses de Sciences Po. (“Best
paperback book in economics” prize awarded by the French Economic Association
(Association Française de Sciences Economiques)
・Gautié J. (2015), Le chômage, La Découverte (2nd edition 2009).
・Baudelot C., Cartron D., Gautié J., Godechot O., Gollac M., Senik C. (2014), Bien
ou mal payés ? Les travailleurs du public et du privé jugent leur salaire, Paris,
Editions Rue d'Ulm.
・Gautié J. and Schmitt J. (eds) (2010), Low Wage Work in the Wealthy World,
New York: Russell Sage Foundation.

細川 良 氏
青山学院大学 法学部教授・同学部法学科主任/埼玉労働局紛争調整委員

専門は労働法。主に日本、フランスの労働法および労使関係を研究。

【略歴】
2011  早稲田大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学
2012    (独)労働政策研究・研修機構労使関係部門任期付研究員
2015    (独)労働政策研究・研修機構労使関係部門研究員
2018    (独)労働政策研究・研修機構労使関係部門副主任研究員
2019    青山学院大学法学部教授
2020    青山学院大学法学部教授・法学科主任
2021    埼玉労働局紛争調整委員

主要著書

『ファーストステップ労働法』(共著/エイデル研究所、2020年)
『現代先進諸国の労働協約システム(フランス)』(労働政策研究・研修機構、
2018年)
『諸外国における非正規労働者の処遇の実態に関する研究会報告書』(共著/
労働政策研究・研修機構、2016年)
「ICTが「労働時間」に突き付ける課題─「つながらない権利」は解決の処方箋
となるか?」日本労働研究雑誌709号
「フランスの企業再構築にかかる法システムの現代的展開」日本労働法学会誌
132号

島田 陽一 氏
早稲田大学 法学学術院 教授 

日本の労働法研究の第一人者であり、近年では「同一賃金同一労働」「有期雇用契約」
に関して多くの研究を行っている。フランスの労働法・労働経済についても詳しい。

【略歴】
 1975年3月 早稲田大学法学部卒業
 1977年3月 早稲田大学法学研究科修士課程修了
 1983年3月 早稲田大学法学研究科博士課程(後期)単位修得
 1983年4月 小樽商科大学講師
 1984年10月 小樽商科大学助教授
 1994年10月 小樽商科大学教授
1996年4月 早稲田大学法学部助教授
1997年4月 早稲田大学法学部教授(2004年より法学学術院教授)現在に至る。
 2010年12月~2015年2月 中央労働委員会 公益委員

【論文著書】
『労働法第6版』(共著) 有斐閣 2020年
『ケースブック労働法第4版』(共著) 有斐閣 2015年
「『同一労働同一賃金原則』と『生活賃金原則』に関する覚書」浅倉むつ子先生
古稀記念論集
『「尊厳ある社会」に向けた法の貢献』旬報社 2019
「医師の働き方改革と今後の労働時間規制」 季刊労働法266号 2019年9月
「働き方改革と労働時間法制の課題」 ジュリスト1517号 2018年4月
「これからの雇用政策と労働法学の課題」 『講座労働法の再生第6巻』
(日本評論社) 
2017年6月・

【パネリスト】
鈴木 宏昌 氏
早稲田大学 名誉教授

【その他の主要な役職】
IDHE-ENS-Paris-Saclay, 客員研究員

ILOでの勤務経験が長く労働経済、労使関係の国際比較に詳しい。現在は
フランスに在住しており、現地でフランスの労働経済を研究しながら日本の
研究誌等に寄稿し
日本人向けに情報提供を行っている。

1964年早稲田大学政治経済学部卒業
1969年ルーアン大学(フランス)博士課程修了
1970年から1986年までILO本部(ジュネーブ)勤務
1986年から早稲田大学商学部助教授、そして教授
専門分野:労働経済。特に雇用、労働時間、労使関係の国際比較