Cortez Ma Tezza Joy(コルテズ・マ・テザ・ジョイ)さん/2018年来日

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター
看護師
Cortez Ma Tezza Joy(コルテズ・マ・テザ・ジョイ)さん・2018年来日

 

フィリピンの看護学校を卒業後、現地のコールセンター管理会社にて勤務。看護師国家試験合格後、4年間現地の病院(内科・外科病棟)にて勤務した後、2018年度日本・フィリピンEPA看護師候補者として来日。AOTS関西研修センターにて来日後研修を6カ月受講後、岐阜県にある中部国際医療センター(旧・木沢記念病院)にて就労を開始。手術室・リハビリ病棟・脳神経外科での業務をしながら国家試験に向けて勉強し、2021年に看護師国家試験に合格。現在は同病院のHCU(高度治療室)病棟を担当。

EPA事業への応募したきっかけと、日本に来てよかったことを教えてください。

フィリピンでは、3年程国内での病院で勤務した後、海外の医療機関で活躍する看護師が多くいます。最初に勤務した病院の先輩たちはカタールの病院に行っていたので、当初はカタールで働くことを考えていましたが、父親が韓国で働いていて、アジア圏での就職を勧められていたこともあったことや、インターネットでEPA事業について知って、応募することにしました。

AOTS研修のグループ発表
(写真左から2番目)
 

来日後のAOTS関西研修センターでは、病院でよく使う言葉や文章を勉強し、患者様への声掛けの仕方や、敬語等も勉強しました。現在HCU病棟で働いていて、患者様と毎日敬語で話しますが、敬語は難しく、まだまだ勉強中です。

AOTS研修ではたくさんの仲間ができて、今でも連絡を取り合っています。コロナ禍になる前は、たまに当時の仲間と会って出かけることもありました。

AOTS研修時の仲間で京都に行きました
(写真左から6番目)

就労開始後は、どんな仕事をしていましたか。その中で頑張っていたことは何ですか。

最初はオペ室に配属されましたが、その後人員配置が換わり、リハビリ病棟に1年、脳神経外科に1年間勤務しました。その後、病院が木沢記念病院から中部国際医療センターに変わって、HCUの所属になりました。2022年の1月に病院が新しい建物になり、設備も新しくなったので、覚えることが多いです。HCUでは夜勤も多く、夜勤の場合、午後4時半から翌日朝9時まで勤務します。まだ慣れないですが、月に5回ほど担当しています。 

仕事を始めてから、コミュニケーション面、とくに日本語の方言が難しく、理解するのに苦労しました。例えば、言葉の最後に「やるし」とつけたり、文脈を察したりする日本語特有の表現に困っていました。例えば「いいよ」は「やっていいよ」なのか、「やらなくてもいいよ」なのか、状況で意味が変わる、とったものです。わからないことは先輩に聞いていましたが、まだまだ難しいことが多いです。

国家試験に向けて、勉強はどのようにしていたのですか。

私の病院に勤務するEPA看護師候補者は、週2回、日本語の勉強をするための学習教室に通っていました。寮から教室まで距離があり、仕事の後に通うのと、毎回の宿題をこなすのが大変でした。

<ある1日のスケジュール>    

 6:00 起床
 8:30-17:00 仕事
17:30-19:00 学習教室にて日本語の勉強
19:30- 帰宅・食事・家事等
21:00- 国家試験に向けた自律学習
24:00- 就寝

病院での研修中に先輩の候補者と

病院の寮には同じEPA看護師候補者の先輩も住んでいましたが、それぞれ個室にいて、日勤や夜勤等の勤務時間が異なること、また、広い院内では、近いところにはいても、日中も先輩に会うことはなかなかなかったです。それでも、困ったことがあれば先輩や、EPA候補者の教育担当や事務局のスタッフさんにいつでも相談できました。配属された部署の師長さんや看護師の皆さんも優しく、国家試験に向けて、勉強方法を教えてもらうことができました。周囲の多くのサポートを頂き、頑張ることができたと感じています。

国家試験に合格した前と後で、どんな変化がありましたか。

看護師国家試験に合格し、数年ぶりに看護業務ができるようになりました。まず、いろいろな新人研修を受けました。研修は日本人と一緒のものです。その中で、実際に点滴や注射・採血・心臓マッサージ等、看護師として技術があるかどうかのチェック項目がありました。
母国でも看護師をしていたので、それぞれの作業自体は問題なくできても、対応方法を日本語で質問された時に、日本語でうまく答えらなくて悔しい思いをしました。英語では答えられる質問なのに、日本語で表現できないんです。そういった意味で、日本人看護師と比べるとまだまだ自分はペースについていけていないと感じることもあります。
点滴の針やモニタ、吸引器等の器械も母国とは違うものが多いですし、説明は全て日本語で書いてあるので、使い方がすぐにはわかりませんでした。それぞれのやり方を先輩と一緒に確認してノートをとり、時間があるときに試しに使う、という経験を経て、やっと実践で使えるようになっていきました。

母国での看護経験からのブランク(3年程)がありますし、資格をとってまだ間もないので、自分ではまだ心配なことが多いですが、看護師になってからは、同僚から「大丈夫、できますよ」と言って頂いたり、「間違えても経験になるから大丈夫ですよ」と言って頂いたりして、たくさん練習の機会を頂いたことで、自信をもって仕事に取り組むことができました。

試験の合格お祝いで同僚からナース用の道具を頂きました
(リール付ハサミなど)

新型コロナの関連で、病院の様子はどう変わりましたか。

2021年3月~4月はコロナの感染拡大が広がった時期で、当時のコロナによる入院患者は外国人が多く、同じ外国人としてとても気になりました。また、職員が濃厚接触者になる等、院内のシフトの変更対応に追われて大変でしたが、病院内のスタッフが協力してなんとか大変な時期を乗り越えました。

今後、チャレンジしたいことを教えて下さい。

結婚式の様子

まだ資格をとったばかりなので、まずは目の前の仕事に集中して取り組んでいきたいです。
また、プライベートでは、最近母国のパートナーと結婚したので、ゆくゆくは家族を連れてきて日本で暮らせたらいいなと思っています。

これからEPA候補者になる人、就労を始める後輩に向けてメッセージをお願いします。

日本はとても素敵な国です。多くのみなさんは日本語を学習するのはとても大変と考えると思いますが、それだけの価値があります。日本にはとても平和で安全な生活環境だけでなく、よい待遇の仕事があり、プロフェショナルな同僚もいます。EPAプログラムに参加することができたら、この道のりは決して簡単でないと知ることになると思いますが、ゴールを目指して集中して、自分を信じていれば、きっと成功します。EPAプログラムは、日本語の学習から、日本の生活様式にどのように協調していくかまで、たくさんのサポートがあります。みなさん、いっしょにがんばりましょう!

Japan is a really nice country, I believe many would think that it would be really hard to study the Japanese language but I think it’s all worth it. Japan has too much to offer from peaceful and safe living environment, to good paying jobs and professional workmates. If you were able to join the EPA program you must know that it won’t be an easy path, but if you focus on your goal and just believed in yourself I think you would be successful. This program gives a lot of support to us EPA candidates, from studying Japanese language to learning how to cope up with their lifestyle. みなさん、いっしょにがんばりましょう!
 

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※本インタビューの内容は、2022年2月14日時点のものです。

AOTSは、就労中のEPA看護師/介護福祉士候補者の学習サポートを行っています。

就労中看護・介護人材の日本語研修