Ferrer Frances Jonah Fernandez(フェレール・フランセス・ジョナ・フェルナンデス)さん/2017年来日

社会医療法人厚生会 中部国際医療センター
看護師
Ferrer Frances Jonah Fernandez(フェレール・フランセス・ジョナ・フェルナンデス)さん・2017年来日

 

フィリピンの看護学校を卒業した後、3年間の現地の病院(外科病棟で手術前後のケアを担当)勤務を経て、2017年度日本・フィリピンEPA看護師候補者として来日。AOTS関西研修センターにてAOTSによる来日後研修を6カ月受講後、岐阜県にある中部国際医療センター(旧・木沢記念病院)にて就労を開始。配属先の手術室で様々な手術のサポート業務をしながら国家試験に向けて勉強し、2019年に看護師国家試験に合格。

EPA事業への応募したきっかけと、日本に来てよかったことを教えてください。

もともと親戚が日本に住んでいたことで、日本に親しみがあり、日本で働きたい気持ちがありました。来日後、AOTSの研修センターでは、日本人やフィリピン人だけでなく、他の外国人研修生とも交流があり、たくさんの出会いがありました。日本語の勉強だけでなく、一緒に食事をしたり、スポーツをしたりしたことも良い思い出で、研修が終わってそれぞれの職場に行くときは仲間と離れるのが辛かったです。日本語クラスでは、文章の作り方の基本を教わったことはもちろん、看護のシチュエーションを使って会話練習をしたことはよく覚えていて、今の仕事にも役立っています。また、研修中に、勉強委員会のリーダーを担当していたので、毎日の宿題や試験に向けてスケジュール管理をすることの大切さも学ぶことができました。

多くの課題にチャレンジし、ストレスを感じることもありましたが、それを乗り越える経験ができたことはとても良かったと思います。AOTSで得た様々な経験から、多くのことを学ぶことができ、良い記憶ばかりが思い出されます。

就労開始後、頑張っていたことは何ですか。

就労開始後の病院でAOTS研修時の恩師と

就労先では、手術室(オペ室)に配属されたこともあり、覚えることも多く、緊張の毎日でした。私の病院では、多い時は1日20件以上の手術があり、分野も産婦人科・外科・眼科・脳外科と様々な種類の手術が同時に行われています。

まず担当したのは、オペで使用する物の補充や、使用した後の器械の部品の洗浄や片付けです。例えば、ハサミや吸入管等を洗浄したり、医療機器を元の場所に戻すといった作業ですが、初めのうちは、それぞれの呼び方やスタッフの名前を覚えられなかったり、オペ室での話のスピードや内容の理解が追い付かず、なかなか慣れることができませんでした。オペ室では、皆さんとても速いスピードで話をしますし、専門用語も多かったり、扱う器械を習っていない別の呼び方で呼んだり(例:長モスキートを「長モス」と省略する等)することも多く、理解するまでは苦労しました。

オペ室に同じEPA候補者の先輩がいたので、まだ日本語でスムーズに話すこともできず、自分の気持ちを伝えることができなくて困った時は、簡単な日本語で説明してもらったり、自分から質問したりして、助けてもらっていました。就労当初からしばらくは勘違いや誤解をすることもあり、大変な日々でしたが、先輩やベテラン看護師等のサポートのお陰で徐々に仕事に慣れていきました。

また、仕事の内容や日本語に加えて、精神面の苦労もありました。母国ではプロの看護師として医療に従事していたのですが、日本では国家資格を持たない看護師候補者は、ナースエイド(看護師のサポート)の業務しかできません。もちろん事前に説明を聞いていて、理解はしていたのですが、いざ医療現場に立つと、これまで母国でできていたことができないという状況に辛く感じることもあり、早く資格をとりたいという気持ちでいっぱいでした。

試験に向けて、勉強はどのようにしていたのですか。

私の病院に勤務するEPA看護師候補者は、週2回、日本語の勉強をする教室に通うことになっていました。また、週に1日、国家試験に向けて勉強する日を頂いていました。仕事の後に病院の寮から教室に5カ月ほど通いましたが、仕事に加え、毎日その教室の宿題をすることと、国家試験に向けた勉強をするため、時間管理をするのが大変でした。とても忙しかったですが、周囲のサポートのおかげもあり、これまで続けることができたと思っています。

国家試験に合格した前と後で、どんな変化がありましたか。

看護師国家試験に合格した後は、看護師として業務ができるようになり、どんどんと色々な手術につくことになりました。候補者の時は、短い時間で終わる手術(口腔外科、眼科等)が多かったのですが、看護師になってから、患者様に全身麻酔を行うような比較的時間が長くかかる手術(産婦人科、脳外科等)にも携わるようになりました。また、なにより患者様に「看護師さん」と呼んでいただけるようになり、ナースとしてのプライドを持って仕事に取り組めるようになりました。母国の家族や親戚も、私の試験合格をとても喜んでくれました。正式に看護師になったので、長く日本で働けることになりました。今は試験も終わったので仕事に集中して取り組めるようになってうれしいです。

新型コロナの関連で病院の様子はどう変わりましたか。

私の病院には、コロナ専用病棟がありますので、救急車等の緊急搬送で陽性の患者様を受け入れることもあり、院内感染には細心の注意を払っています。

今後、チャレンジしたいことを教えて下さい。

国家試験の勉強が終わったので、まずはいろいろな手術を経験し、仕事の幅を広げていきたいです。例えば、まだ整形外科の手術は経験がないので、今後担当できたらと思っています。また、今後病棟の担当になったら、夜勤も担当してみたいと思っています。

仕事の他には、自動車の運転免許の取得に挑戦しようと考えています。

これからEPA候補者になる人、就労を始める後輩に向けてメッセージをお願いします。

大変な道を選んだ皆さんを本当に誇りに思います。決めたことを始めたら、最後まであきらめないでください。ゴールへ向かって集中してください。タスクが多く感じたら、1つずつ進めてください。皆さんが本当に一生懸命に頑張っていることは、わかっています。期待していた結果が出なくても、頑張っていなかったというわけではないです。それと、神様が存在していることを考えてください。神様の恵みで合格できるので、お祈りは忘れないでくださいね。皆さんが合格できるよう、応援しています。頑張ってください。

日本語19MB
English26MB

※本インタビューの内容は、2022年2月14日時点のものです。

AOTSは、就労中のEPA看護師/介護福祉士候補者の学習サポートを行っています。

就労中看護・介護人材の日本語研修