経営者インタビュー

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『日本を含めて海外でのビジネス展開を推し進めていきたい』 ~ネパールのIT関連サービス会社社長に聞く

2016年12月20日(火)11:30

(Nepal/ネパール)

 

Digital Age Nepal社
Ms. Dibyswory Dhar (Managing Director)
Nepal

 

HIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。

 

今回、ネパールでIT関連サービス事業を手がける参加者にお話しをうかがいました。

 

 

-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。

 
カトマンズに所在するDigital Age Nepal Pvt. Ltd.は、IT分野に貢献することを目指して2015年に設立され、金融機関およびネパールの主なデータセンターへのサービス提供を短期間で行うことができるようになりました。ごく少数の従業員で起業したDigital Age Nepal社の現在の従業員数は11名です。しかし、組織の成長に伴って従業員数を増やす必要があり、将来的には200名以上の雇用を目標としています。Digital Age Nepal社が開発してきた商品は、「CPFDS」というマネーロンダリング対策(AML)のソリューションです。AMLは世界的な要件であり、当社は今後の目標として、このAMLソリューションサービスを世界的に提供することを揚げています。
 
-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。
 
お客様の要件に見合う革新的なソリューションとは何かのビジョン、チームワーク、適切な計画や指導、および従業員の満足が成功の鍵です。経営者は人財の価値を理解する必要があります。

-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?
 
新設企業として当社は、取引先となる規模の大きな企業の適格基準に適合しなければならず、これは大きな課題です。経験年数を3年とする、または3年間の財務諸表等といった適格基準は、企業の業務遂行能力にかかわらず、機会の障壁になる要因になっています。
 

ネパールは新興市場で、かつ非常に小規模な市場なので、国内の企業経営では不十分であり、健全な事業を展開するには、事業を国外に拡大し拡張する必要があります。

 

それとは別に、組織内に技術チームを整えることが難しい場合があります。よって当社は、すべての従業員に少なくとも2年間当社に留まることを奨励してきました。当社は人材を当社の財産として扱い、最低でも5~6年雇用することを見込んで、その職務経験および業務評価に従って報酬を支払います。訓練を受け、経験を積んだ「人財」は、軽んじられるべきではありません。経営者は、彼らが重要な存在であることを理解すべきです。

 

-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。

 

当社は現在、外国企業との取り引きがなく、ネパール国内でのみ業務を行っていますが、世界市場で事業展開をする機会が得られれば、それは喜ばしいことです。当社は、長期にわたる関係を構築できるよう誠心誠意全力を尽くして業務に取り組みます。信頼関係のもと、取り引きの継続に努めます。

 

当社は、お客様のTOR(委託事項)に合致するよう業務を行い、当社の組織をISO20001や9001等の基準に適合させ、これらの基準を徹底して遵守します。

 

Digital Age Nepal社はこれまで、外国のお客様との業務経験はありませんが、私は個人的に、ネパールのヒューレット・パッカード(HP)販売事務所に勤務していた際に、HPの同僚とともに働いた経験、および7~8年以上HPおよびAPC社の関係者の近くでの業務をした経験がありますので、国際的要件への適合のために学んだことを十分に活用し、品質に関して妥協しません。当社の能力を一定の試用版プログラムとともにお見せすることができれば幸いです。お届けした業務の試用版にご満足いただけた場合、当社は常に最高品質の業務とサービスを提供することをお客様に保証いたします。当社は、企業倫理と職場の関係を大事にしています。

 

-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?

 

当社は、日本を含めて海外でのビジネス展開を推し進めていきたいと考えています。このような機会が与えられた場合、当社は、海外企業が求める諸条件に適合するために妥協しません。データの安全および秘密保持契約(NDA)は、高い優先事項として考慮します。同時に、当社が提供する製品は、最適水準で要件・TORに適合します。

-貴社ビジネスが属する、自国におけるマーケットの状況について教えてください。

 

新しく設立された会社であるにもかかわらず、サービス提供の対象となる分野において、当社は認識されてきました。ここネパールには、業界内で200社を超える競合企業があります。私は、女性による事業経営を難しいと感じたことはありません。しかし、業界で長い歴史をもつ他社と競争することは、間違いなく大きな挑戦です。このような挑戦に備えて当社は、競争力のある価格かつ最適なソリューションの提供に熱心に取り組まなければなりません。鍵となるのは、お客様の要求を理解したうえで、これらの要求を満たす付加価値のあるサービスを提供することです。
 

-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?

 

現在、当社は非常に小規模な企業です。私は、すべての従業員を家族として扱っています。組織は人事の方針と手法に従って成長するため、人事制度を変える必要があるかもしれません。私は、社員が大変重要な財産であると強く信じており、社員全員に対し、柔軟に考え、強い意欲を持って業務に打ち込むことを望んでいます。

 

-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。

 

今まで訪日を考えたこともありませんでしたが、どういうわけか、今回、私はHIDAの管理研修プログラムに応募しました。日本での旅の始まりから、つまり空港からHIDA東京研修センター(TKC)に来る途中の地下鉄の駅までの間でも学ぶことがありました。

 

私は毎日、日本で新しいことを学びました。日本が有する技術や技法です。日本では、私たちがまだ考えたこともないイノベーションを見いだしていました。訪問した工場はすべて、スマートテクノロジーの高度な設備を備えていました。これらの工場を訪問したことで、異なる考え方、賢い考え方を学ぶことができました。私は、自国に適用できる新しいイノベーションについてずっと考えていたので、それぞれの工場で適用されている技法を見学した今では、私の頭には多くのアイデアがあります。これは何か良いことに向けたビジョンを私に与えてくれるかもしれません。

 

松下幸之助歴史館を訪れましたが、起業家として私は本当に刺激を受けました。松下氏に心から感動しました。彼の献身、情熱、ビジョン、努力および全体を考える哲学が、おそらくこれほど多くのイノベーションをもたらし、人々の生活を変えたのでしょう。私は、溢れ出す気持ちで歴史館にある彼の銅像に頭を下げ、松下氏の死去で私たちは偉大な人物を失ったのだと知りました。私にそのような知識を与えてくたれ事に対し、HIDAには大変感謝しています。

ご協力ありがとうございました。