経営者インタビュー

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『1級ジェネラルコントラクターとして国家プロジェクトを手掛ける』 ~エチオピアの建設会社社長に聞く

2017年9月1日(金)10:00

(Ethiopia/エチオピア)

 

GIGA Construction PLC
Mr. Gebrehiwot Girmay (General Manager)
Ethiopia

 

AOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。

 

今回、エチオピアで主に政府委託の建設事業を営む参加者にお話しをうかがいました。

 

 

-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。

 
Giga Construction PLCは、1995年にエチオピアに設立された建設会社です。当社は、現在までに国内において43のプロジェクト(総額約10億エチオピアブル相当)を手掛けています。当社は、*7級建設会社として運営を開始しましたが、今では*1級ジェネラルコントラクターの資格を所持する建設会社に成長し、これまでオフィスビル、学校、工場、道路など様々な建設を行ってまいりました。
 
現在、従業員は242人の正規職員と500~1,000人の非正規職員、また、年間売り上げ平均は2億エチオピアブルです。数多くの民間建築物も建設しましたが、現在は主に政府より委託された建設事業を請け負っております。エチオピア政府が、大規模プロジェクトのための建設会社を新聞で公募するのです。
 
私自身は、土木技師や構造設計者として経験を積んだ後この会社を立ち上げました。構造設計をビジネスとして選ぶことも出来たのですが、エチオピアでは建設業の市場がより大きかったためそちらを選択しました。
 
*1級ジェネラルコントラクターとは、ビル、道路、橋梁、空港、ダム、鉄道など全ての種類の建築物を単一または複合体に関わらず建設することを認められている建設会社のこと

-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。

 

当社の経営方針は、社員の合意をもとに決定をするという参加型の会社であることです。私は経営者として、4~5人で形成される役員会に事案を提出し皆で議論をするようにしています。なぜなら、あらゆる観点から問題を見ることが必要だと思うからです。そして、役員会からの提案をもとに最終決定を行います。従業員にも出来るだけ議論に参加し自由に自分自身を表現してもらえるような職場環境を作りたいと思っています。私の経営方針は、従業員を信じることです。
 

-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?

 

経営面では、大きな妨げとなるような課題は特に無いと思いますが、今まで以上に大型のプロジェクトを扱う場合には経営陣を拡大あるいは再構築せねばなりません。プロジェクトの規模に合わせて経営体制も柔軟に拡大されるべきであると思います。また、技術革新に伴い、経営の近代化も進めていかなければなりません。

 

我々のおかれているビジネス環境はひとつの課題と言えるかもしれません。我々の資源は非常に限られているため、中国、韓国、インドなどの海外企業と我が国において競合することは困難です。この問題に関しては、経験豊富な海外企業とジョイントベンチャーを組むことで解決出来ればと考えております。

 

-これらの“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?

 

現在、ISO9001:2008適合組織となるために取り組んでおります。認証を受けるための監査をすでに申請しました。エチオピアでISO認証を所持する建設会社はまだ多くありません。

 

-現在、海外企業との取引がありましたら教えてください。

 

はい、現在取引のある海外企業は、UAE、イタリア、中国、日本(コマツ、トヨタ)などです。これらの企業からは、ビルや道路建設のための建機および仕上げ材などを輸入しております。ビジネスの中核部分の取引はまだありません。

 
-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?
 
はい、可能性はあります。日本の企業とジョイントベンチャーを組むことができれば、我々が現地パートナーとして国家プロジェクトへの申請等担うことができます。もし、当社にご興味のある日本の企業がありましたら、どのような建設の専門分野をお求めであるか是非ご相談ください。最善の形で協力することが出来ればと思います。
 
-エチオピアと日本の商習慣については、どのような違いがありますか?
 
エチオピアは、かつて中央集権制度下にあったため、我々のビジネスカルチャーは比較的新しく未発達です。会社に変革をもたらす優秀な人材の価値がまだあまり周知されていないのです。時間厳守、勤勉さ、業務への集中力を大切にする日本のような先進国のビジネス習慣を我々が身につけるにはまだまだ時間がかかりそうです。これらを達成できれば、業務の成果にも大きな変化が生まれると信じています。
 
-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?またどのように改善したいとお考えですか?
 
我々の技術や人材能力の水準はまだ低いです。従業員は、満足な環境において技術を習得してきていないからです。彼らが先進国に行くか、専門家に来てもらうことで、技術を伝達していただき問題解決のサポートをしていただくことが最善の方法だと思います。
 
-最後に、今回のプログラムに参加し、日本や日本企業についてどのような印象を持たれましたか?
 
初めて日本を訪れたのは2003年でした。名古屋でみたトヨタのように、多くの日本企業で製造される製品のクオリティーの高さに感動しました。また、日本には転職者があまりいないということにも大変驚きました。そして横浜トレーニングセンターでの安全管理の徹底にも、感銘を受けました。
 
一方で、今回は二回目の日本訪問でしたが、日本人の多くが国際的な公用語(英語など)を話せないということに気付きました。これは、日本にとって将来的に不利なので真剣に取り組むべき課題だと思います。この点については、中国はより国際化し言語を習得しています。英語のセカンドネームまで持っており、外国人にとっては親しみやすいです。世界は、急速にひとつの集団へとまとまり始めています。外国人が過ごしやすい日本、そして日本人が過ごしやすい外国になればと願います。
ご協力ありがとうございました。