経営者インタビュー

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『高品質な製品を生み出すための革新的な材料を販売する海外の業者を探しています』 ~アルゼンチンで不織布製造会社を経営する役員に聞く

2019年10月29日(火)10:00

(Argentina/アルゼンチン)

 

Scalter S.R.L.

Ms. Hutin Ailin Melina (Production Manager/ Managing Partner)

Argentina

 

AOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。

 

今回は、アルゼンチンにて不織布を製造する会社の製造部長兼マネージング・パートナーにお話をうかがいました。

競合業者のいない大規模な成長市場

Scalter S.R.L.は、1995年にブエノスアイレスに設立された不織布を製造するファミリー企業で、現在104人の従業員を擁しています。当社工場には、スパンボンド製造ラインを含む5つの製造ラインがあります。不織布は、プラスチックが原料であり最も安価な布です。現在、我々が製造する不織布は、自動車、農業、服飾、パーティー・イベントなど様々な業界で利用されています。また当社は、オムツおよび手術用消耗品向け不織布なども製造しています。
 
アルゼンチンでは、不織布の製造会社は4社しかなく、合計で月間5000トンを製造しています。大規模で成長市場ではあるものの、当社が市場として重視していないオムツ用の不織布製造がほとんどなので競合業者はいません。当社の不職布は主に、オムツとは不織布の使用量が異なる家具、バッグ、ショッピングバッグ、自動車内装に使用されています。
 
当社の顧客の95%は国内に位置し、残りの5%は、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、チリなどの近隣国に存在します。我々が最も大切にしていることは、顧客に満足してもらうことです。長期に渡る関係をビジネスパートナーと結ぶために製品やサービスを提供していきたいと思います。

若手社員に積極的に業務に関わってもらうことが最優先

私達は、社員と固い絆を結ぶというファミリービジネスならではの概念を組織中に広めています。社員の安全確保と職場環境の整備には全力で取り組んでいます。また、社員の家族との関わりを重視し、定期的に会合やパーティーを開催しています。
 
一方で、これらの努力にも関わらず、社員の信頼や会社へのコミットメントを得ることは未だに難しいと感じます。貢献、時間厳守、責任は、最重要であり、かつ維持することが最も難しいものです。私もこのところは製造現場より自分のオフィスで過ごすことが多いのですが、いつでも社員が私と話をしに来ることができるようにオフィスのドアを開放しています。社員に、特に若手社員にもっと積極的に業務に関わってもらうことが私の今の最優先課題なのです。

小規模ビジネスは変化に順応可能

最近はアルゼンチンの大統領選挙が為替レートに大きく影響しています。私達は米ドルで原材料を買い付け、90日後に顧客に製品を販売するので、とりわけ不安定な経済や困難な資金繰りに直面している場合、急激で大幅な為替レートやキャッシュフローの変化への対応が非常に厳しいのです。
 
しかし、小規模なファミリービジネスであるScalterは、他社と比べて変化に順応しやすく、顧客の求めるタイミングでニーズを提供することが出来るため、市場における競争力が高いです。
 

新テクノロジーと研修でビジネスを拡大

当社のビジネスを拡大する唯一の方法は、新テクノロジーの採用と社員研修に投資をすることであると信じています。研修を受けるのは社員だけでなく、私の父や私がこのAOTSで経営者研修を受けているように、我々経営陣も時に知識の更新をしています。AOTSの研修プログラムに参加した主な目的は、経営や品質のノウハウを伝授してもらうことでより改善を目指すことです。さらには、AOTSに集まる世界中の人々と経験や観点を共有することに興味を持ったからです。
 
また、製品の品質をベストに保ち、市場での競争力を維持するためには、常に機械をアップデートする必要があります。利益は新しい機械の購入に再投資していますし、常に新たなビジネスについても考えています。
 
中国からは多数の機械を購入し、インドネシア、ブラジル、インドなど国外から原材料を輸入しています。商品の運送費が高額なため、現在当社は、国内または隣接国のみに製品の販売をしています。我々は、高品質な製品を生み出すための革新的な材料を販売する海外の業者を探しています。テクノロジーは、日々変化し続けるので、品質と機械にかかるコストの両方のバランスをとることも重要です。
 
また当社は、取引先の枠を広げる機会を常に探しています。日本製品の品質と日本人の仕事へのコミットメントには、信頼をおいています。不織布を製造する機械の核とも言えるスピナレットという特別な部品と石油化学製品など原材料の調達を目的として、すでに2社の日本企業と連絡をとっています。当社の全製品の主原料であるポリプロピレンとポリエチレンの調達について、それらの企業には大いに関心を持っています。これらの原材料は月間約400トンも使用するのに、アルゼンチン国内にはそれらを製造する業者が1社しかないので、他に製造業者を見つけたいのです。日本製のスピナレットは非常に高品質なので、それらを使用して不織布を作れば、最高品質のものが出来ると確信しています。
 
日本で得た事を自分の国に持ち帰り、活用する日が楽しみです。

Q. 最後に、現在の職業に就いていなかったら、何になりたかったですか?

科学者です。
 
ありがとうございました。
 

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