インド労働事情シンポジウム ~インドの労働文化と日系企業が抱える人材育成・労使関係の課題~

実施報告

2019年2月26日(火)TKPガーデンシティ御茶ノ水(東京都千代田区)において、インド労働事情シンポジウム~インドの労働文化と日系企業が抱える人材育成・労使関係の課題~を開催しました。

日本企業がグローバル化を進める中、インドは投資対象国としてますます重要な地位を占めるようになってきています。その一方で、インドをとりまく環境や内政も刻一刻と変化しており、日本企業は今まで以上に同国で優秀な人材を確保・育成し、安定した労使関係のもと事業を展開することが求められています。

本シンポジウムでは、経験豊富な講師・パネリストをお迎えし、インドで操業中及び今後進出を考える日本企業にとって現地での円滑な操業のために必要な人的側面についてお話いただきました。当日は企業、産業団体の方々などを中心に65名にご参加いただき、盛況のうちに終了いたしました。

第一部 基調講演 13:00 ~ 15:00

第一部では、白木三秀氏(早稲田大学 政治経済学術院教授)、K. B. Akhilesh氏(インド科学大学院大学(IISc)経営学研究科 教授)、山田剛氏(公益社団法人日本経済研究センター 主任研究員)にインドの労働事情・人的資源管理・労使関係についてご講演いただきました。

講演内容

白木三秀氏(早稲田大学政治経済学術院 教授)

  • インド投資の魅力と課題
  • アジア主要国とインドの経済指標
  • インドの所得水準
  • 在インド日本企業の離職率

K.B.Akhilesh氏(インド科学大学院大学(IISc)経営学研究科 教授)

  • インドの労働事情
  • インドの労使関係
  • インドの人事労務管理
  • インドの労働文化と在インド日本企業へのアドバイス

山田 剛氏(公益社団法人日本経済研究センター 主任研究員)

  • インドの雇用状況と離職率
  • インドの労使紛争と対策
  • インド人のメンタリティ
  • インド政府の産業政策と労働法改革

講師プロフィール

白木 三秀氏(早稲田大学 政治経済学術院 教授)

早稲田大学で経済学博士号取得。現在、早稲田大学政治経済学術院 教授(労働政策・HRM)、トランスナショナルHRM研究所所長。2015年8月から国際ビジネス研究学会の会長を務めている。

主要著書

『人的資源管理の力』 (編著、文眞堂、2018年)
『グローバル・マネジャーの育成と評価』 (編著、早稲田大学出版部、2014年)
『チェンジング・チャイナの人的資源管理』 (編著、白桃書房、2011年)
『国際人的資源管理の比較分析』 (単著、有斐閣、2006年)

K. B. Akhilesh氏(インド科学大学院大学(IISc)経営学研究科 教授)

インド科学大学院大学(IISc)で博士号取得。1982年よりIISc経営学研究科教授(HRM・組織行動・技術経営)。1993年から1998年は同学部の学部長を務めた。

現在、ラジーヴ・ガンディー石油化学工業大学(RGIPT)学長を兼任。アメリカ、ドイツ、フランス、日本、カナダ、ポルトガル、ベルギー、スウェーデン等、世界各国の大学や研究機関で客員教授、客員研究員を務めた。また、ダイムラー・クライスラー、エアバス・インダストリー、プラット・アンド・ホイットニー、ラップ・インディア、ILO、フォルクスワーゲン、ハネウェル等、1,000社以上の企業・機関でコンサルタントや研修講師の経験がある。主要な研究テーマはIT業界や製造業における人材育成で、インド内外の学術誌で140以上の論文、12冊の書著を発表している。

主要著書

Akhilesh, K. B. (2017). Co-Creation and Learning: Concepts and Cases. Springer India
Akhilesh, K. B. (2014). R&D Management. Springer India

山田 剛氏(公益社団法人日本経済研究センター 主任研究員)

1988年、早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社入社。1997~2001年バーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年~2008年ニューデリー支局長。ニューデリー支局長時代はインド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、スリランカの政治・経済などを取材。

2008年より日本経済研究センターに出向し、インド・南アジア政治・経済およびビジネスの研究に従事する。現在は日本経済新聞シニアエディター、BSテレビ東京「日経プラス10」キャスターを兼務。2009年より明治大学国際日本学部非常勤講師も務め、インド経済論を担当。財務総合政策研究所・インドワークショップにも参加。

主要著書

『知識ゼロからのインド経済入門』(山田剛著、幻冬舎、2012年)
『インド-目覚めた経済大国』(共著、日本経済新聞社、2007年)

 

第二部 パネルディスカッション 15:00 ~ 17:00

第二部では、「日系企業が抱える人材育成・労使関係の課題」をテーマとし、参加者の方々から事前にいただいた質問にパネリストが答える形式でパネルディスカッションを実施しました。モデレーターに白木氏、パネリストにK. B. Akhilesh氏、山田氏に加え、日下部光正氏(日下部電機株式会社 常務取締役)、Vikas Tyagi氏(富士通コンサルティングインディア シニア・アプリケーション・デベロッパー)をお迎えしました。

主なトピック
  • インドの労使紛争の解決方法
  • インドにおける人材採用
  • 技術移転の工夫・秘訣
  • 多様なバックグランドを持つ労働者のマネジメント
  • インド人のジュガール(Jugaad)という考え方
  • インド人労働者のリテンション
モデレーター

白木 三秀氏(早稲田大学政治経済学術院 教授)

パネリスト 

K. B. Akhilesh氏(インド科学大学院大学(IISc)経営学研究科 教授)
山田 剛氏(公益社団法人日本経済研究センター 主任研究員)
日下部光正氏(日下部電機株式会社 常務取締役)
Vikas Tyagi氏(富士通コンサルティングインディア シニア・アプリケーション・デベロッパー)

パネリストプロフィール

日下部光正氏(日下部電機株式会社 常務取締役)

大阪大学大学院修了、リクルートエージェントにて勤務後、日下部電機株式会社に入社。本社に2ヶ月勤務し、インド現地法人へ出向、2010年から2016年までインドに6年間滞在し同社のインド事業の立ち上げに尽力する。現在は数ヶ月に一度のペースでインドを訪問し、新インド人社長へインド現地法人の経営を引き継いでいる。

Vikas Tyagi氏(富士通コンサルティングインディア シニア・アプリケーション・デベロッパー)

2014年よりシニア・アプリケーション・デベロッパーとして富士通コンサルティングインディアに勤務。その他アクセンチュアやフェランティ・コンピューター・システムズ等の多国籍企業での勤務経験がある。

開催概要

日時

2019年2月26日(火)13:00 – 17:00

会場

TKPガーデンシティ御茶ノ水 カンファレンスルーム3C
(東京都千代田区神田駿河台3丁目11-1三井住友海上駿河台新館3階)

テーマ

インドの労働文化と日系企業が抱える人材育成・労使関係の課題

定員

50名

言語

日英同時通訳

参加費

無料