専門家の声 エチオピア(オロミア州)

山村武明 専門家
エチオピア(オロミア州)
派遣期間:2018年5月~2019年3月
指導内容:革製バックの中難度製品製造に関する指導

現地スタッフとのコミュニケーション

コミュニケーションを取らなければと深く考えた事は有りません。現地に入れば話さなければ進まない訳ですから。というよりも派遣される国の人たちに興味を持つ事が必要かもしれません。まずはどうやったら現地の人は笑うのかとか、笑わせたらこっちのものです。エチオピアの人は基本フレンドリーで、楽しい話が好きなことが分かってからは、水を得た魚でした。自分が興味を持つのと同時に、こちらにも興味を持ってもらう事が大切な様な気がしています。それは現地のカルチャーを知る事ができる近道かもしれません。

最初にこちらに来た時は、とにかくネットでダウンロードした現地語を恥ずかしがらずどんどん使いました。それだけで笑ってくれます。これは海外に派遣された方なら必ず体験する事だと思いますが、ここからスタートを切って、畳み込むように現地語を使ってみることが私は一番心が通じ合うきっかけになりました。

作業の様子

その後は只の面白いおじさんと思われても困るので、専門的な事を実際にやって見せてあげて、またそこで興味を惹くことができます。ある時トレーニング生に「あなたは何物」みたいな質問をされ、過去やってきた事を少し話すと「なるほど」的な反応が返ってきました。

難しい場面も多々ありました。かなり怒ったこともあります。いいんです。それは真剣な証拠だ、と今思えばそう言えます。真剣さは必ず伝わります。今はコンフォートゾーンを抜け、次の段階に入っています。いろいろ現地の人に理解してもらわなければいけない事がたくさんあります。ただ押しつけではなくその国のカルチャーを良く理解していなければなりません。カルチャーを理解したうえで何が問題なのか、変わっていかなくてはいけない必要性を理解しやすく話さなければならないと思っています。

また、こちらのインフラ整備が遅れている為、停電や断水が多く仕事や生活に支障をきたす事が多々有ります。そういう時の対処の情報も欠かせません。日本では感じられない不便さが当たり前のように有り、電気の有りがたさ、水の有りがたさを痛感する瞬間が有ります。

効果的な指導方法

私は現地法人の立ち上げの時にハンドバッグ作りのトレーニングに参加し、トータル約10カ月エチオピアへ専門家として派遣されていました。今回久しぶりにエチオピアへ5月より10カ月間派遣されてからの事柄を寄稿します。

いろいろな指導の方法は有ると思いますが、何か問題が有った時には注意したり、教えて上げたりしていますが、今やっている事が何故駄目なのか、教えている事がどういう事なのか理由とその意味をしっかりと伝えてあげる事を心掛けました。また「何故これではいけないのか」という疑問に対しても、しっかりと説明してあげることも心掛け、例えばトレーニング中に良くない作り方をしているスタッフにもう一度やり直そうというと、「何で?」みたいな反応が有りましたが、「あなたはもしこの作りの製品がお店に並んでいたら欲しいですか?買いますか?」と目を見つめて聞くと、「欲しくない」と言いました。後は無言でやり直しを始めていました。物事の芯をとらえて説明してあげられるとよい気がします。

作業の様子

また、私は自分の経験から、何度も何度も繰り返し同じことをやってもらいました。作った物も何度も作り直させ、不満顔を何度も見てきました。しかし信念のもとにそのやり方を変えませんでした。

今になって過去に教えたスタッフから「あなたに教えてもらっていたスタッフたちはその時、不満を凄く持っていた」と言われました。でも私が「今はどうですか?」と尋ねると、「あの時のトレーニングで基礎がかなり身についた」と話してくれました。久しぶりにそのスタッフたちの仕事ぶりを見て、イージーなやり方になっているのを見た時に「どうしたの、このやり方で良いの?駄目だよね?」と問い詰めると、「暫くこのやり方でやっていました」と言うので、「また最初からやる?」と問いかけると「分かりました。あなたが考えた事に賛同するので注意してください」と言ってくれたので、よかったと思った出来事でした。またやり直そうと伝え、問題点を指摘しながら日々チェックするよう心掛けました。あの時のトレーニングを経験しているスタッフはすぐに理解を示して、やり直しに応じてくれました。真剣に考え信念を持って接する事が一番伝わるような気がします。

個々の意見を言ってくるので、意識の改善はとても難しく、時に強く、時に優しく真剣に伝えてあげなくてはならないと思います。もちろん正しい事には大きく賛同してあげ、よくできた時は褒めてあげる。これを繰り返し行う事で少しずつ意識を変えられると思っています。

当寄稿は2018年9月19日発行の「AOTSメールマガジン No.90」で配信されました。