専門家の声 ベトナム(ハノイ)

横田一美 専門家
ベトナム(ハノイ)
派遣期間:2018年12月~2019年1月
指導内容:船外機用コントロールケーブルの製造技術に関する指導

効果的な指導方法

2018年度、私は2度の専門家派遣を経験させて頂きました。
指導先のスタッフとは10年来の付き合いであり、保全業務の指導を行いましたがコミュニケーション等には問題なく指導を行え、目標の達成も出来ました。

前回は指導先企業における素材加工部署の指導で、今回の派遣では新機種の移管を目的に組立部署の指導を行いました。この部署での指導は初めてであり、スタッフの顔は分かるがスキルレベルが分からない中での指導が始まりました。

指導当初は既に行っている作業を指導することもあり、新機種の特殊性の指導から入りました。フローチャート等での指導ではスタッフは理解出来ているようでしたが、実際に作業を始めると特殊工程(半田作業)に大変苦慮しました。

作業動画を用いての指導

そこで用いたのが「カンコツ作業」工程についての派遣元企業の熟練作業者の作業動画で、パソコンに録画してきた物を利用して指導することが有効でした。特に作業にはバラツキが出ますが、動画だと何度でも同じ作業を見ることが出来て有効でした。

言語に違いはあっても作業は同じであり、スタッフやワーカーと一緒になり半田作業の習得を目指し、最終的には指導対象者全員の「やる気」を引き出すことができ、1か月という短期間であっても目標を達成できました。この結果は「やる気が出ると、どのような場面でも目標は達成出来る」ということがスタッフやワーカーの良い経験になったのだと感じます。

現地スタッフとの交流

スタッフやワーカーとの交流で印象に残っているのが、行事(祭事)へ招待されたことであり、中でも指導先企業スタッフの結婚式に招待されたことが、強く印象に残っています。ベトナムでは、祭事を行う際に近隣者、同僚、上司を招いて行いますが、特に結婚式は盛大です。

宿泊施設の近隣でも目にしましたが、結婚式に出席してみると、日本では音楽のライブで使用するような大型スピーカーで大音量の音楽が流れる中を、司会者による流暢な進行や、歌手が来てベトナムの歌謡曲と思われる歌を歌ったり、一言で表すと派手な演出が行われます。

また、ベトナムでは、結婚する相手と嫁ぎ先を同郷にすることが多いようで、今回も両家の実家が近く、初めに新郎の実家、次に新婦の実家で(徒歩で移動)披露宴が行われていました。

印象に残った盛大な祭事

大音量の音楽の中、新郎及び新婦の家族による接待があり、ここで出される地酒はかなりアルコール度数が強く、各家庭で作られるようで行く先々で味の違う地酒が供されました。口当たりが良くてつい飲み過ぎてしまいますが、度数が強いので飲み過ぎには要注意です。

結婚式は何処も同じで、新郎新婦を祝う気持ちが強く表れていました。また、ベトナムにも一気飲みがあり、掛け声を合わせ会場のあちこちで行われていました。酒に弱い私は飲み過ぎないように真似事で凌ぎましたが、心から祝福する出席者に感動を覚えました。今回の派遣での印象深い出来事は、この結婚式への出席が間違いなく一番でした。

当寄稿は2019年4月17日発行の「AOTSメールマガジン No.97」で配信されました。