AOTS海外労働関係情報メールマガジン 第134号

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インドネシア政府とAPINDO(インドネシア経営者連盟)のコロナへの対応

*記事はインドネシア経営者連盟(APINDO)からの情報を編集したものです。

 

 

インドネシア経営者連盟(APINDO)は、企業団体及び政府により打ち出される新型コロナウィルス感染症(COVID-19)対策方針が、インドネシアの労働状況の改善に大きな影響を与えると考えている。そのため、APINDOはCOVID-19対策に向けた政府規制について、労働者の利益を損なわないように監視している。
 
  インドネシア中央統計庁(BPS)のデータによると、2021年2月時点でのCOVID-19の影響を受けている生産年齢人口は1,910万人であり、2020年8月と比較すると34.41%減少(1,002万人減)した。COVID-19の影響を受けた生産年齢人口の内訳は、失業者162万人、非労働力人口65万人、離職者111万人、時短労働者1,572万人となっている。
 
  インドネシア科学院(LIPI)は、労働省(Ministry of Manpower)研究開発局及びインドネシア大学経済・経営学部人口統計学研究所とともに2020年4月24日から5月2日までの期間に、15歳以上の住民を対象としたオンライン調査を実施した。同調査では、インドネシア34州から2,160人が参加し、インドネシアの労働者及び雇用主に対するCOVID-19の影響に関するデータが得られた。
  同調査によると、COVID-19流行の影響により労働者の15.6%は解雇され、40%は収入が減少した(そのうち7%は収入が半減した)。
  とりわけ起業家については、 39.4%の企業は廃業を免れず、57.1%は生産量が減少し、影響を受けなかった企業はわずか3.5%であったことが示された。企業の存続能力については、存続期間が3カ月未満の企業は41%、3~6カ月間は24%、6~12カ月間は11%、12カ月以上は24%であった。また、自営業者の40%は事業活動を停止しなければならず、52%は生産活動が減少したことが示された。さらに自営業者の25%は収益を得ることができず、自営業者の28%は収益が半減したことが示された。
 
  上述の数値より、1,000万社の自営業者が廃業に、1,000万社が40%以上の減収に追い込まれること、1,500万人の臨時雇い労働者又は家族従業者が失業することが予測される。また、失業者が、自営業者1,000万人及び臨時雇い労働者1,500万人を合わせて2,500万人増加すると予測されている。さらに、賃金の減少と無収入に伴う貧困率は、1,750万世帯に達すると予測されている(貧困線が1人ひと月当たり440,000ルピア(約3,500円)になると想定)。
 
  APINDOは、労働者及び求職者の能力開発を目的とした政府の取り組みの一環として導入される「Kartu Prakerja」(職業訓練カードプログラム)の効果を最大化するために、「Kartu Prakerja」に関する覚書の作成に向けて政府と協力している。またAPINDOは正規労働者の失業補償、及び以下を含むインドネシア労働省によるCOVID-19の影響への対策のための規制に関し、政府へ積極的に働きかけをしている。

  • 大臣令2021年16号(2021年7月28日に発令): COVID-19の影響対策に向けた労働者の給与/賃金の補助金提供による政府支援の指針に関する労働大臣規則2020年14号の改正に関する大臣令。
  • 大臣令2021年104号(2021年8月13日に発令): COVID-19の流行期間中の労使関係の維持に向けた対策実施指針に関する大臣令。

 
上述の内容を改めてまとめると、以下のとおりになる。
 

(ⅰ) 政府は、COVID-19流行への対応において、事業継続のための当事者である労働者と雇用者の両者の活動による相乗効果が最大化されるように努めている。 

(ⅱ) インドネシア中央統計庁(BPS)のデータによると、COVID-19流行の影響を受けた生産年齢人口は、2020年8月と比較し、2021年2月には34.41%減少した。

(ⅲ) 政府により発令された規則は、COVID-19流行期間中の経済成長にプラスの影響を与えている。政府の方針は、COVID-19流行中の事業存続のために企業家を支援し、影響を受けた労働者の雇用を維持するためのインセンティブを与えている。