AOTS海外労働関係情報メールマガジン 第135号

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COVID-19による経済・雇用への影響及び政府・産業界の取り組み

*記事はバングラデシュ経営者連盟(BEF)からの情報を編集したものです。

 

 

COVID-19によるバングラデシュ経済及び雇用環境への影響

 COVID-19により生じた経済危機は、バングラデシュの経済面および社会面に大きな打撃を与えており、国内総生産(GDP)成長率を大幅に低下させる可能性があると複数の国際組織が予測している。
更に世界経済が深刻な不況に陥る中、バングラデシュの輸出は前例を見ないほどに落ち込んでいる。
COVID-19感染拡大による国内経済活動の停止や減速により、2020年には労働力人口の4.3%に相当する推定310万人が失業した。そのうち若年層失業者数は約150万人でその失業率は12.0%と国内全体平均失業率の約3倍である。就業者についても職場と市場の閉鎖、移動制限、一部活動停止およびモノとサービスの需要減少は、既に生産の減速、労働時間の削減、勤労所得減少を生じさせており、特に都市部において多くの者が、従来よりも低賃金の仕事への移行を余儀なくされている。
 複数の研究機関やシンクタンクの予測によれば、COVID-19の影響により新たに発生した貧困者数は最大で4,170万人に達し、貧困線を下回る生活をしている人口の割合は、コロナ危機前の推定割合20.5%から34.1~44.0%に増加する可能性がある。

政府による対策の取り組み

 国内経済に対する影響を緩和するために、政府は合計でGDPの約4.2%に相当する1兆2,844憶1,000万タカ(約150億米ドル)規模となる 23項目の回復施策を導入、この中で、一般市民層を対象とする食料安全保障や社会保障、零細企業や中小企業に対する低コスト融資ならびにサービス、複数の対策が提供されている。

   他方、バングラデシュ国内の複数の専門家は政府に対して、COVID-19に起因する新たな労働課題への対処として以下のような提言を行っている。

  *政府は、前例のない現状への必要な対策措置を検討する「労働雇用委員会」を設置し、対策措置に必要なデータや情報の収集をバングラデシュ統計局(BBS)に委託して進めるべきである。

  *労働者を含む一般市民の健康の確保するため、医療分野における制度上の課題解決や医療分野への支援のための施策の実施を最優先すべきである。

  *一般市民層において、感染対策として清潔を保つことやソーシャルディスタンス等の習慣が未だ十分に浸透していないので、継続的に啓発する必要がある。

  *いわゆる「ニューノーマル」な就業環境に対応できるようなハード・ソフト両面の技術開発や技能開発に焦点を当てる必要がある。

バングラデシュにおけるテレワーク

 国内で活動する地場企業および外資グローバル企業の多くが、パンデミックが始まって以来、既に様々な規模で在宅勤務を取り入れている。とりわけ、通勤時間帯に交通が非常に混雑するダッカ等の大都市の労働者にとって、在宅勤務導入により通勤時間が削減されることは大きな恩恵となる。

 但しテレワークは、製造ラインを運転している製造指向型産業においていくつかの課題を生んでおり、皮革、履物、冷凍食品、その他多くの製造産業や農業分野では機械を稼働させ、現場に出向き、対面で人が関与する必要がある。

 このように在宅勤務への制約的な環境はあるものの、バングラデシュ政府による「デジタル・バングラデシュ」構想は、パンデミック中、より広範囲に在宅勤務を支援してきた。加えて、バングラデシュの多くの法人が、オンラインでの銀行取引および供給業者や顧客との取引を支援する現代的なエンタープライズ・リソース・プランニングシステムを準備している。

コロナ禍のバングラデシュにおけるICT活用

 バングラデシュは農業が主要産業の国ではあるが、近年開発された新たなテクノロジーの波が多様な分野に及んでおり、新たな推進力となっている。多岐にわたる産業分野において、自動化技術や制御技術が適用されている。サービス、輸送、教育、農業、医療、環境等のいくつかの特定部門において、AIが効果的に利用されている。 ライドシェアリング、ベンガル語の自然言語処理(NLP)、ChatBot、航空券やホテルの予約、リアルタイムマッピングの利用等において数多くの場面でAI技術が使用されており、日々の生活を快適にしている。
 政府は国内のICT人材育成促進するために、デジタルリテラシーおよび技能訓練を提供している。既に100万人を超える若者や女性に仕事を提供している。
 パンデミック中も、情報通信技術(ICT)省は、約5万人の若者や女性にデジタルツールを用いる研修を提供してきており、また、民間部門と提携し、短大および大学の学生にオンライン研修を提供することにより、今後5年間にビジネスプロセス・アウトソーシング(BPO)分野における2万人の専門技術者を創出する計画を進めている。