AOTS海外労働関係情報メールマガジン 第78号

Contents

 1.  ミャンマー労働法
 2.  グローバリゼーション下でのUMFCCIの役割

1. ミャンマー労働法

ミャンマーにおける産業化や経済発展における労使関係の重要性の観点から、あらゆる事業が既存の労働法を理解し遵守しなければならない。17の労働法があり、新規に立案されたものや改正されたものもある。

[雇用及び技能開発法(Employment and Skills Development Law)(2013)]
使用者は技術開発チームの方針や作業要件に沿いトレーニングプログラムを実施し、採用予定の労働者や現在働いている労働者の職務に関連する技術を向上させることができる。労働省は、求職者が自身の年齢や能力に適した仕事を選び、就職し、安定した雇用状態を得て、技術を伸ばすことの支援を行い、また、使用者が仕事に適した能力を持つ人材を獲得する際の支援を行うにあたり、そのための機会や雇用を設けるものとする。
雇用及び技能開発法によると、ある雇用に対して、使用者が労働者を正社員として採用する場合、30日以内に雇用契約を締結しなければならない。その場合、政府部門や政府関連機関の正社員であってはならない。

[労働紛争解決法]
労働者と協働して事業を発展させるにあたり、労働事項や雇用事項に関する争議に遭遇することがある。そのような問題を解決するためには、使用者と労働者で対話・交渉を行っていた。交渉が出来ない場合、使用者と労働者の双方は労働紛争解決法(2012年)における調停に従わなければならない。労働紛争解決法の定めでは、第1段階は市の調停機関から始まり、和解できない場合、次の段階である州/地方域の紛争解決仲裁機関へ移る。それでも和解できない場合、国レベルの仲裁評議会へと移る。そして、最終段階は裁判所となる。労働省の統計によると、2016年に労使紛争が過去最高を記録したものの、2017年の紛争は減少している。

2. グローバリゼーション下でのUMFCCIの役割

グローバリゼーションが進むにつれ、使用者は、新しい戦略や構造、工程を考案し実施することが必要である。そのため、企業内の労使関係(IR)は、従来のHRMで行われていたよりもさらに重要な役割を持ち、やらなければならないことが多くなっている。広い意味の雇用関係を対象とする最新の手法が生まれている。この新しい手法は、使用者、労働者、及びその代表者間におけるコミュニケーション、協力、信頼を重視する環境内において、全労働者の柔軟性及び技術を高めることを対象とする、幅広いIRやHRM慣行にもとづいている。

これらの要件を満たすため、UMFCCIは2014年にILOの使用者活動局(ACT/EMP)とMOUを締結した。

2016年には使用者団体部門を設立し、ILOミャンマーのプロジェクトコンサルタントによる技術支援を受け、機能を強化している。以降、使用者活動局(ACT/EMP)は、使用者団体部門を含むUMFCCI及び会員企業に対して、特に次の3つの分野に関する支援を行っている。

 

1) 産業界でリーダーシップを発揮できるようになるための使用者の能力強化(技術訓練・助言サービス)。
2) 産業界の国家の政策対話への参画推進(政策提言・調査)。
3) メンバー企業が必要としていることに対して産業団体が効果的に対応できるよう能力の強化。

 

ILOの支援のもと、2016年にUMFCCI(使用者団体部門)は、州及び地方域の23の商工会議所や工業地帯で、1,000人以上の使用者に講習会を開催した。2017年には、ヤンゴン地方域を中心に2,000人以上の使用者に対し講習会を開催した。
UMFCCI(使用者団体部門)は、他にも多くの活動・サービスを行っている。

 

・ 事業者に対して、労働法やその他の労働・雇用関連事項・HR方針及び関連活動、雇用契約や労働規則の補則作成時の助言サービス
・ 国際労働基準に関する豊富な参考資料やILOのその他指導教材、ミャンマー労働法・規則・規制・通知、労働法簡易ハンドブック(2017年10月に発表)のミャンマー語版・英語版・韓国語版・日本語版を蔵する小型のライブラリーの開放

 

労働省は2015年に三者構成から成る組織を発足させ、「ディーセントワーク国家プログラム」「労働法改革プログラム」「コミュニケーション戦略プログラム」の3つの分野において活動を行っており、UMFCCIはこれら全てに参加している。