職場環境改善の取り組みの良好事例 ガーナ

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魚介加工業

写真の反射ベストを着た女性は、魚洗い作業員のひとりです。 ここには約200台のクリーナーのテーブルがあり、テーブル1台当たり50匹の魚が置かれています。 彼女は、ガーナ消防署によって訓練された63人のPFC防火責任者の1人であり、 簡単に識別できるよう背中に「PFC Fire Warden(防火責任者)」という文字の入った緑の反射ベストを着ています。
防火責任者には、緊急に避難場所を確保し、集合地点で人数を確認する義務があります。
また、防火責任者は、必要に応じて、さまざまな場面で消火器を取り扱えるよう訓練も受けています。
そして、火災の原因となりうるものについて、講じるべき予防措置を報告する義務を負っています。

 

改善前、防火責任者はおらず、緊急避難は雑然と行われていました。
また、模擬訓練への取り組みが不熱心でした。
避難訓練の際に、従業員は集合場所に集まらず、サボって他の場所で気晴らしをしていました。
そして、防火責任者の言葉を真剣に受け止められていませんでした。 火災報知器が鳴っても、ラインリーダーさえ無視し、生産ラインが動くままにまかせていました。

改善するために、委員会で火災等の安全管理のリーダ-を置く事が議論され、実行に移されました。 こうしたリーダを置く事自体が今まで実施したことがないことであり、安全管理に対する関心を向けることになりました。

防火責任者の数を2009年に約15人から38人に、2010年には53人に、2011年には63人に増やしました。
会社の緊急避難計画、火災報知器による事故報告、模擬演習報告、 その他防火責任者の活動に関する問題を統括防火責任者と協議する防火責任者会議を年4回開催するようにしました。 会議の議事録は、経営陣に提出されます。

防火責任者はそのような会議で気持ちを新たにし、また、反射ベストの支給は、 期待に応えて信頼できる態度で任務に当たる動機づけとなっています。
防火責任者が円滑に任務を遂行する際に、業務を妨げた管理職は、他の人への戒めとして、処罰されました。
防火責任者が目に見える形で特定され、 また緊急事態時において防火責任者としての任務を担う存在であることを経営陣が認知したことにより、 必要な権限が与えられました。

改善の結果は以下の通りです。

    ・現在、防火責任者が、避難時、すべての誘導を担当し、誘導は整然とした方法で行われています。
    ・集合場所で人数確認が実施され、報告がEHS委員会に提出され、あわせて講じるべき措置についての所見が提出されます。
    ・防火責任者は、自分たちが責任を持って実施することに自信を持ち、成果を上げています。
    ・消火器を使った消火活動技術が向上しています。
    ・非常用アラームが鳴った場合、従業員迅速に反応し、集合場所にまっすぐに集まるようになりました。

改善を維持するために次のことを行っています。

    ・自分たちの任務を防火責任者に常に意識させるため、再トレーニングのスケジュールを組んでいます。
    ・防火責任者の防災意識を維持するために年4回の会議を開催しています
    ・3交替制勤務すべてについて防火責任者の適切な配置を確保しています。

小木和孝講師コメント

ローコストによる改善で創意工夫がみられる。 安全管理に対する防火責任者のモチベーションアップにもつながったことで評価できる。 研修での報告時にも、リーダシップを確立して職場改善をすすめ、 良い成果を得たことを、自信をもって強調していた。 職場に働く人たちのイニシアティブを育てることから改善がすすむことをよく示している。

当情報の取得年月日:2011年9月