職場環境改善の取り組みの良好事例 スリランカ

Contents

    バングラデシュカンボジアガーナフィリピン・スリランカ

アパレル製造業

写真は染み抜き作業部門の従業員が仕事をしているところです。 従業員は、毎日、化学薬品を取り扱っています。 そのため、作業場に、拡散する有害物質を除去する排気装置が設置されています。 また、保護目的で化学薬品取扱い用の手袋(ニトリル手袋)と有機ヒューム・マスク、 保護メガネなどの個人保護具(PPE)が支給されています。 化学薬品の取扱いは、生産エリアから切り離され囲まれたエリアで行われています。 工場の換気装置に化学物質が混入されて汚染されないよう注意が払われているのです。

改善以前は、この業務は、PPEを装着することなく、生産ラインで行われていました。 後に私たちは染み抜き作業をしている労働者にPPEを支給しましたが、調査の結果、 染み抜き作業をする労働者やその間近で働く他の従業員に対して、 PPEの装着のみだけでは化学物質の汚染は防止できないことが判明しました。 そこで考え出されたのが上記で説明した排気装置設置の改善です。

改善するために行った手順ですが、まず環境安全衛生(ESH)委員会が、 染み抜き作業業務の全体を観察し、バリュー・ストリーム・マップを作成しました。 こうした活動により、染み抜き作業業務に伴うリスクを発見することができました。 解決策を見つけるにあたって、私たちは、 最小限のコストで必要な変更をどうすれば行えるかをエンジニアリング部門と協議しました。 その結果、排気装置および低コストで自作した立方体のパーティションを設置することにしました。

以前染み抜き作業をしている従業員とその近くの従業員は、頭痛を訴えていました。 改善後、私たちは、疾病報告から、そのような報告例が減少したことを確認しました。 染み抜き部門の効率の向上は生産作業記録からも、うかがわれました。
職場は以前よりも整然と整頓されてきれいになりました。
 

改善を維持するために私達は以下の活動をしています。

    ・内部の安全衛生監査とモニタリング巡視は、継続的にESH委員によって実施されています。
    ・PPEを従業員に支給するのは当該部署の責任者の仕事です。 私たちは、PPE使用記録簿を作成管理しています。 また、在庫が少なくなった場合はすぐに調達し、従業員にいつでも支給できるようにしています。
    ・エンジニアリング部署は、TPMプロジェクトを運営しており、それに基づいて、機械の保守作業を実施しています。 染み取りブースの排気装置と換気装置は、計画に従ってチェック、補修を実施しています。
    ・不適合報告記録簿を作成管理しており、従業員は、気付いた問題があればそこに記録することができます。 これにより、従業員が何らかの問題を見つけた場合は、ESR委員のメンバーや職場のみんなが知ることができます。

小木和孝講師コメント

低予算による創意工夫による改善例である。 チームの中で皆で皆で相談しあって解決策を探したことも改善に対する従業員の意欲を高めた。 特に保護具に限定せずに、生産工程の問題点を検討して、環境設備改善に力を入れたことで着実な成果がえられた。 作業者の意見を入れて総合的な取り組み方をした点が評価できる。

当情報の取得年月日:2011年9月